岡山大、歯周病が動脈硬化に関連していることを明らかに

2014年8月30日 17:27

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岡山大学の工藤値英子助教・高柴正悟教授らによる研究グループによって、ポリフィロモナス ジンジバリス菌の血漿(けっしょう)免疫グロブリンG抗体価が高いと、LDL-Cの値が高いことが分かった。

岡山大学の工藤値英子助教・高柴正悟教授らによる研究グループによって、ポリフィロモナス ジンジバリス菌の血漿(けっしょう)免疫グロブリンG抗体価が高いと、LDL-Cの値が高いことが分かった。[写真拡大]

 岡山大学の工藤値英子助教・高柴正悟教授らによる研究グループは、歯周病細菌の一つであるポリフィロモナスジンジバリス菌に対する免疫抗体が多い患者は、動脈硬化に関わる悪玉コレステロールの値が高いことを明らかにした。

 これまで、歯周病が動脈硬化に関連することが指摘されてきており、マウスを用いた実験では、歯周病細菌の感染が脂質代謝に影響することで動脈硬化を悪化させることが示されていた。

 今回の研究では、平均年齢60歳の男女各45人の血液成分を調べたところ、歯周病の原因細菌の一種であるポリフィロモナスジンジバリス菌に対する免疫グロブリンGの値が高い患者では、悪玉コレステロールである低比重リポタンパク(LDL-C)の値が高いことが分かった。

 これまで歯周病が影響を与える疾患として、動脈硬化、心血管障害、糖尿病などが考えられてきたが、今回の研究成果によって、ポリフィロモナス ジンジバリス菌の感染度を血液で検査することの有用性が示された。

 今後、研究チームの検査方法で歯周病との関連を調べることで、これらの疾患の原因解明につながると期待される。また、成人のほとんどが罹っている歯周病の重症度を調べる検査指標として使用することで、適切な治療を行うことができるという。

 なお、この内容は日本の英文歯科学雑誌「Odontology」に掲載された。

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