歯の痛み 酷暑要因で歯ぎしり虫歯でなく“摩耗痕”

2014.08.27


イラスト・メソポ田宮文明【拡大】

 「歯の痛み」といえば、普通は虫歯を疑うものだ。しかし、虫歯じゃなくても歯が痛くなることがある。精神的な抑圧状態が続くと、なぜか歯が痛くなる人がいる。その不可思議なメカニズムをひもとくと…。

 Wさん(33)は1週間ほど前から歯に痛みを感じるようになった。右の奥から3−4本目あたりが痛い。初めは市販の痛み止めでしのいでいたが、妻から「子供じゃないんだから歯医者さんに行ってきなさい!」と叱られて、渋々会社の近所の歯科医院を受診した。

 ところが、虫歯は見つからなかった。見つかったのは、「ファセット」とよばれる“病態”だった。

 「ファセットとは、歯にできる“摩耗痕”のこと。強い歯ぎしりをしている人に見られます」と語るのは、Wさんを診察した東京・大田区にある平和島駅前歯科医院の下山忠明院長。Wさんの歯痛の原因を、ストレスではないかと推測する。

 「精神的なものも含めさまざまなストレスにより、夜間睡眠中に無意識のうちに食いしばったり、歯ぎしりをする人がいます。これが原因で歯に痛みが生じているのでしょう」

 ファセットは歯科医が口の中を見ればひと目でわかるという。ほんのわずか(歯を研磨する程度)の咬合調整でかみ合わせが改善し、症状も改善していくことが多いが、ひどい時には睡眠中にマウスピースを装着することで歯を保護することもある。

 ちなみにWさんの歯痛は、下山院長ご推察の通り、ストレスだった。しかし、そのストレスは小欄でよくある会社や家庭でのゴタゴタではない。彼のストレスは「熱帯夜」だったのだ。

 少々メタボ気味のWさんは汗っかき。彼にとってこの夏の酷暑は耐え難い苦しみだ。ところが彼の奥さんは大のクーラー嫌い。うだるような暑さの寝室で、スヤスヤ眠る女房を尻目に、深夜までうちわを駆使してわずかな涼を求めるメタボ亭主。美しい夫婦愛ではあるが、そのストレスが回り回って“歯”に現れたというのだから哀れな話だ。

 Wさんは眠れぬ深夜、自分の歯の保護のために「ストップ・ザ・温暖化」を真剣に考えているという。いつか環境庁から表彰されるといいのだが。 (長田昭二)

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